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本当になんにもしない女だった。炊事、洗濯、掃除はおろか、こちらが注意しないと、三日も風呂に入らないほどだった。
読み終わりだった小説は、四十代の男性作家が書いた恋愛小説で、面白いというよりも、どうして主人公の女性がこんな自意識過剰な男に惚れるのかが気になって、ついつい読み続けていたのだが、残り数ページとなった今もその理由は書かれておらず、もしも主人公が、最終的にこの男をきっぱりと捨てなければ、自分が代わりにこの本をゴミ箱にきっぱりと捨ててやろうと思っていた。
「・・・お姉ちゃん、絶対に間違ってない!本人たちがどんなに信じあってても、いつか必ず信じられなくなるときが来るの!そのとき、絶対にあんたはあの子じゃなかったって思う。自分にはもっと似合いの女がいたはずだって思う。自分が一生を棒にふったのは、あの子のせいだって思う!そうなったとき、一番可哀そうなのは、あの子じゃない!・・・」
春、バーニーズで | |
吉田修一著出版社 文芸春秋発売日 2004.11価格 ¥ 1,200(¥ 1,143)ISBN 4163234802 | |
私たち、狼少年ごっこをしてみない? お互いに一つずつ嘘をつくのよ…。理想的なカップルが、不思議な緊張感に陥ってしまうとき。リアルすぎて切ない、男と女の距離感を描く短篇集。 [bk1の内容紹介] bk1で詳しく見る |
最後の息子(文春文庫) | |
吉田修一著 出版社 文芸春秋 発売日 2002.08 価格 ¥ 530(¥ 505) ISBN 4167665018 bk1で詳しく見る |
ランドマーク | |
吉田修一著出版社 講談社発売日 2004.07価格 ¥ 1,470(¥ 1,400)ISBN 4062124823 | |
大宮の再開発地区に建設される地上35階建てのスパイラルビルをめぐり交差する2人の男の運命と、照らし出される現代日本の光景。芥川賞作家が圧倒的迫力で現代を衝く傑作長編。 [bk1の内容紹介] bk1で詳しく見る |
『この人の息子ってのは、いい男だもんねぇ。ほら、昔の裕次郎みたいでさ』
おばさんにそう言われ、『そうか?』と隼人は首をひねった。
『やっぱりいいとこ出てんだろうねぇ』
『いいとこって?』
『学校とか、幼稚園からいいところに通ってるから、あんな上品な顔になんのよ』
隼人には画面に映った小泉首相のどこをどう見れば上品な顔立ちなのか分からなかったが、おばさんがそう言うので、こういうのが上品なのだろうと単純に思った。
長崎乱楽坂 | |
吉田修一著出版社 新潮社発売日 2004.05価格 ¥ 1,365(¥ 1,300)ISBN 4104628026 | |
若い男たちの肌の火照り、女たちの熱い息。性と暴力の渦の中から、少年たちが切り取った、自分なりの「男」。長崎の大家族を舞台に描く長編。『新潮』掲載に大幅な加筆を行い単行本化。 [bk1の内容紹介] bk1で詳しく見る |