三羽 省吾 / 角川書店(2006/06)
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<青春を五感で体感させてくれる小説。>
作者の三羽省吾(みつばしょうご)さんは1968年生まれ。2002年『太陽がイッパイいっぱい』で小説新潮長編新人賞を受賞してデビュー、その後『厭世フレーバー』(文藝春秋)を上梓、本作は3作目となる。
爽快かつ痛快なストーリーに魅せられること請け合いの作品である。
エンターテイメント小説の世界にて将来を嘱望される作家のひとりと言って良いのではなかろうか。
かつて師弟関係であった結城(教え子)と大木(監督)。
この2人の関係を念頭に置いて読まれるのが一番奥の深い読み方であると思われる。
お互いの心に残ったわだかまりは払拭出来るのであろうか。
物語が始まった時点では立場が逆転していると言えよう。
結城は選抜大会(春の甲子園)に出たばかりのK高校の監督をしていて夏の甲子園出場を目指す。
一方、大木はたった9人しかいない蜷高野球部の監督で村が水害にあい、グラウンドも使えず練習もままならない。
結城が大木にグラウンドを貸すと申し出ることによって物語が大きく動き出すのである・・・