/ 東映(2004/07/21)
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<人生同様、感じ方も十人十色であろう>
ご存知横山秀夫氏のベストセラー作品の映画化で第28回日本アカデミー賞受賞作。
原作は先日講談社から文庫化されている。
読書ファンの間では既に読まれた方も多いであろう。
原作を読んだのが約二年半前だからかなり詳細については忘れがちであるので、映画との設定の差を確認することが不可能であるが・・・
確か、鶴田真由演じる新聞記者役が原作では男だったような気がする。
映画化に際して鶴田さんの起用はかなりヒット。
やはり華がなければいけないよね(笑)
あと、原作では連作短編的な形で描かれそれぞれの章にて出てくる人たち(刑事、検察、弁護士、判事、記者)の立場と本音や矜持との差が面白かったのであるが、さすがに映画化となれば描かれ方が違ったような気がする。
原作では最終章でミステリーの解明(主に新宿に行った動機について)がされたような気がするが、映画では途中から観ているものにわからせるように順次描かれている。
原作同様、観る人の性別・年齢・人生経験や立場によりかなり違った捉え方が出来そうであるが、逆に言えば日頃忘れがちである生きて行く上でもっとも大切な問題を直視している点が素晴らしい。
個人的に少し難点を書かしていただけたら、柴田恭平がミスキャストだったような気もする。
まわりと噛み合っていないように感じられた。
もうひとつ、原作を読んでない方が観られたら、少し内容がわかりづらい部分もあるかな。
たとえばこれは原作を読まれた方も賛否両論なんだけど、何故妻を殺さなければならなかったかと言う点。
でも、元来原作と同様、もっと奥深い点でこの映画を捉えるべきものなんだと思うのである。
骨髄バンク、アルツハイマー病などなど、私達はもっと向き合うべきことが多いのだということを知った。
寺尾聡の映画史に残るといっても過言ではない“名演技”だけでなく、観た人が何か悲しいことにぶつかった時に少しでも心を和らげる効果が見込める“記憶に残る映画”であることには間違いない。