2005
05.24
Tue
『古道具 中野商店』 新潮社 (川上弘美)
post time: 01:00, category: 川上弘美, author: トラキチ
川上 弘美 / 新潮社(2005/04/01)
Amazonランキング:690位
Amazonおすすめ度:
古道具屋になりたいっす
久々にじっくり「本」を読みました。
絶対言語感
川上弘美さんの作品は
『センセイの鞄』以来読んでなかったが、本作も読者が数年後に再読したくなるような気分をもたらせてくれるであろう傑作に仕上がっている。
なぜなら彼女の作品を読めば必ず幸福感に包まれるからである。
舞台は東京の古道具屋の中野商店。
古道具であって骨董屋ではない。
ここでバイトする私(ヒトミ)が主人公。
年齢は二十代後半である。
主人の中野さんは五十を過ぎているのだが3度目の妻をもらっているも不倫中(笑)。
はっきり言って“女にだらしない男”なのである。
しかし憎めないから不思議だ。
中野さんと姉であるマサヨさんとの距離感も読者にとっては奇妙で心地よい。
川上作品の特徴は“私達が普段生きている日常から少し離れた世界にどっぷり入り込める点の心地よさ”だと思っている。
作中に出てくる登場人物達すべてに共通している点は、彼(彼女)等にとってはとりとめのないことが読者にとって非常に新鮮であるということである。
何となく“のほほん”としてて・・・
本作はジャンル的にはやはり恋愛小説であろう。
物語のひとつの柱である主人公とタケオのぎこちない関係。
意地らしく読まれた方も多いかなと思う。
たとえエロい描写があっても、すんなりと受けいれることが出来る。
川上ワールドに嵌った証拠であろう。
文章で説明するのは本当にむずかしい。
やはりページを捲って“読んで体感すること”が肝要である。
人生いろんなエピソードがある。
しかし誰しもあの頃が懐かしかったと過去を振り返ることがないであろうか?
ラストの急展開にはちょっと驚いたが・・・
ハッピーエンドか否かは読者に委ねられているような気がする。
私は本作を急がずにじっくりと1篇1篇噛みしめて読んだ。
そういう読み方をするべき作品だと思っている。
なぜなら早く読むともったいないような気分に襲われそうだからだ。
私的には本作は“人生達観小説”だと思ったりする。
まるで人生も“急がば回れ”という言葉の如く生きなさいと川上さんが教えてくれているようだ。
最後に心地よい場所に戻ってきた登場人物達。
明日からは本作の登場人物のように“不器用なれど微笑ましく”生きたいものである。
評価9点 オススメ
この作品は私が主催している第3回新刊グランプリ!にエントリーしております。
本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。(投票期間2005年8月31日迄)
TB&コメントありがとうございます。
川上さんの作品って本当に癒されますね。
今、とんとんさんの記事読ませていただきましたが、なにっ、身長負けてますわ(汗)
トラックバックさせていただきます。
よろしくお願いします。
TB&コメントありがとうございます。
川上さんの作品の登場人物って本当に憎めませんよね。
のほほんとしているんだけど懐の深さを感じたりします。
川上さんの描く世界って、まさに
>私達が普段生きている日常から少し離れた世界
だと思います。なのに妙にリアルなのが不思議です。
帯の「不器用でスケールちいさく」というのに笑ってしまったのですが、
なんだかみんな憎めなくて微笑ましくて、読んでいて心地よかったです。
私は読み終わって日頃背負っている重いものが取れたような気がしましたよ。
沢田研二ですか。
確かにイメージが違いますね。
最近朱川湊人さんの作品を読んで、タイガースの頃のジュリーの話が出てました。
何、若い方は阪神の話だと思ってるって(爆)
新刊グランプリの締切の記事もTBさせていただきました。
よろしくお願いします。
この本も、いい感じのマッタリ感がありましたね。
やっぱ、川上弘美だ!という実感がありました。
ところで、「センセイの鞄」の舞台の沢田研二(57歳)はちょっとイメージが違うなぁ。江本さんみたいな枯れた感じだと思うんだけど。
こちらこそ、ご無沙汰しております。
『古道具中野商店』いいですよね。
不器用なのは私も同じなので共感できる部分が多かったです。
川上さんの本も少しずつ読んで行きたいなと思っておりますよ。
TBさせていただきました!
これ、すごくよかったです。いちいち泣けました。
不器用でもいいじゃないか、と思って。
なんか、器用に立ち回るひとが得をする世の中だけど、こういう空間こそ、じぶんは好きだなって思えるストーリーでした☆
コメントありがとうございます。
坂井真紀ですか。
キョンキョンのイメージが強いから・・・
でも演技は坂井さんの方が巧そうですね。
ジュリーもそんなに年を取ったのですか?
違和感ありますね。
川上さん、そういえば読みたくなってきましたね。
何、刺激されやすい?
そのとおりです(笑)
atkです。
トラックバックありがとうございます。
今、『古道具 中野商店』再読中です。
私はかなり高速で読んでしまいました。。。
面白くて、目が勝手に走ってしまうんです。
困ったものです。
そういえば、『センセイの鞄』は舞台化されるそうですね。
ツキコさん役は坂井真紀、センセイ役は沢田研二だとか。
キョンキョンより、坂井真紀の方がはまっている気もしますが、
ジュリーはどうですかねぇ(笑)
センセイって70代だったような・・・。
ドラマ化するなら、この人、って考えるのは、楽しいけど頭使いますね。
TBの件本当にすみませんでした。
先ほどやりなおしましたのでご了承ください。
川上さん、まだ二冊しか読んでないんだけど本当に心が安らぐ作家さんだと思ってます。
機会があれば他の作品も手にとりたいのですが(苦笑)、いつも言ってます・・・
今回も川上さんの世界をじんわりゆっくり堪能しました。
独特のあの雰囲気はやっぱり良いですね。
えっと、それでですね…TBして下さった作品がたぶん違うかもなのです。
あれれれ?と何度も見たんですけどやっぱり違っているようでした(笑)
でも森さんのも是非読んでみたいので、レビュー嬉しく読ませていただきました♪
私からもTBさせていただきますね〜。
ご無沙汰しております。
川上さん、癒されますよね。
少し自分を取り戻したいとか元気を出したいと思われてる方には特に良い読書になると思います。
体調が悪くて気分的にも落ち込んでいたので、川上ワールドに癒されました。
コメントありがとうございます。
そうですね、自分でも“のほほん”というのは的を射た表現だと思っております。
川上さんの本はまだ2冊しか読んでないのですが、ぼちぼちと読んでいきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いします。
”のほほん”ってすっごく分かります。川上さんの作品ってどこかそういう空気が流れていますよね。
また、遊びに来ます今後もよろしくお願いします。
タケオの気持ちは同性としてなんとなくわかります(笑)
少しナイーブさを合わせ持ってると言えば、肩を持ちすぎでしょうか・・・
実は以前、『空中庭園』挫折したことがあるのです。
今だったら読めそうな気がしますね。
映画化もされるみたいだし・・・
角田さん、『ダ・ヴィンチ』でかなり大きな特集が組まれてました。
本当に売れっ子作家になりましたね。
タケオの「猫がしっぽを踏まれた状態」のだんまり、トラキチさんはどんな風に感じましたか?今「空中庭園」(角田光代)を読んでいるのですが、その中の高校男子も、いきなりのだんまりなんです。女としてはそんな急に無視されるの納得いかないなーと思ってしまうのですが。
川上さんの本を読むときは心をゆったりとさせて没頭したいですね。
個性豊かで風変わりな登場人物達、本当に憎めません。
またまた映画化(ドラマ化)されるような気がしますが・・・
今度はキョンキョン年の取りすぎで無理でしょうね(笑)
TBありがとうございました。
独特な時間の流れていた本でしたね。
トラキチさんのレビュー読んでみて、あぁあのゆったりとした時間の流れにもう一度戻ってみたいって思いました。
コメントありがとうございます。
川上さん、いいですよね。
読み終えるのが本当にもったいない1冊でした。
ぼちぼちですが、他作も読んでみようと思います。
これからもよろしくお願いします。